栄養素の代謝入門

ブドウ糖の異化過程

第一段階 : 解糖系(ブドウ糖→ビルビン酸)

 

ブドウ糖はまず、細胞質の存在する「解糖系」と呼ばれる反応経路により、
ビルビン酸という分子2個に変化します。
この変化の過程で、少量のATPが合成されます。

 

ビルビン酸の分子式は、C3H4O3です。
これを2倍しても、ブドウ糖C6H12O6に比べて、Hが4子足りません。
これは、異化の過程でH原子はすぐにOと結合してH2Oになるのではなく、
受け皿となる物質(NAD+などの物質)がいったんH原子を預かっておくという方式になっているからです。

 

(1) C6H12O6 → 2C3H4O3 + 4H

 

この時点では、まだ酸素を使っていないにもかかわらず、
Hを預けるだけで同時にATPが得られることを覚えておきましょう。

 

第二段階 : (ビルビン酸 → アセチルCoA)

 

次に、ビルビン酸は、ミトコンドリアに送られ、

 

(2) C3H4O3 → C2H2O + CO2 + 2H

 

という反応により、Hを2個預けると同時にCO2を一個放出します。

 

このC2H2Oは、実際には「補酵素A」という物資に結合しているため、
アセチルCoAという名前でよく知られています。

 

第三段階 : TCA回路

 

さらにアセチルCoAは「TCA回路」という反応系に導入されます。

 

「TCA回路」とは、ある物質がアセチルCoAを引き受けて結合し、
回路を巡る間に様々に変化し、一周回ると元の物質に戻るという美しい反応系だといわれています。

 

(3) C2H2O + 3H2O → 2CO2 + 8H

 

この反応により、ビルビン酸に残っていたC原子は全てCO2 となって燃え尽きます。

 

その際のOの供給源は、O2ではありません。
H2Oです。

 

一方、Hは、合計で何個預けられたことになるか計算してみます。

 

C6H12O6 + 6H2O → 6CO2 + 24H

 

この式から、一個のブドウ糖からは、途中で水分子を巻き込みながら、
24個のHが預けられていることがわかります。

 

第四段階 : 電子伝達系

 

「電子伝達系」とは、預けていたH原子を燃やしてH2Oにする最終過程です。

 

反応は、

 

(4)24H + 6O2 → 12H2O

 

となります。
その際に、多数のATPが産生され、ブドウ糖の異化が完了します。
そして、前段階を通して産生されるATPの多くは、
この電子伝達系によって得られています。